将来のことも考えて貯蓄以外の資産を作りたいと考えたとき、「投資信託」と耳にしたことはないでしょうか。
- 投資信託ってなに?
- 仕組みも分からないし難しそう
- どうやって始めればいいの?
そんな疑問や不安を持つ方も多いと思います。
投資信託は、投資の中でも比較的簡単で、初心者にもおすすめの投資方法です。
この記事では、投資信託の仕組みから始め方までまとめて解説します。将来の資産形成の参考にぜひ最後までご覧ください。
投資信託は長期で運用するほど効果が大きい投資です。20代の方にもとてもおすすめですよ!
投資信託とは
投資信託は、多数の投資家から資金を集め、プロがまとめて運用してくれる投資商品です。
投資先の選定や調整までプロが行ってくれるため初心者にもおすすめ。国が推奨するつみたてNISA制度で買えるのもこの投資信託です。
投資信託の商品はファンドと呼ばれ、下記のように複数の商品に分散投資します。
- 国内または海外の株式に投資するファンド
- 債券に投資するファンド
- 不動産に投資するファンド
- コモディティ(エネルギーや金属など)に投資するファンド
- 株や債券などいろいろなものにまとめて投資するファンド
運用で生まれた利益は投資家に分配され、売却時の値上がり益も期待できます。
ただし投資信託に元本保証はなく、市場環境によって損してしまう可能性もあります。
投資信託の仕組み
投資信託は、「売る」「運用する」「買う」それぞれを担当する3つの機関で成り立っています。
役割 | 売る | 運用する | 買う |
---|---|---|---|
会社 | 銀行証券会社など | 運用会社 | 信託銀行 |
機能 | 投資家から資金を集める。投資家の窓口となる会社。 | ファンド(投資信託商品)を組み、運用の指示を出す。 | 運用会社の指示のもと、投資を行う。資金の管理も行う。 |
代表的な会社例 | 野村證券 みずほ銀行など | 野村アセットマネジメント 三菱UFJ国際投信など | 三菱UFJ信託銀行 三井住友信託銀行など |
ファンドを組むのは運用会社ですが、販売は販売会社なので、投資家は1つの販売会社からさまざまなファンドを購入できます。
機関が分かれているので混乱しがちですが、実際に投資家の窓口になるのは販売会社です。
投資信託のメリット
投資信託は初心者にもおすすめの投資方法とお伝えしましたが、ここではそのメリットを具体的に5つ紹介します。
- 投資のプロが運用してくれる
- 分散投資でリスクを抑えられる
- 少額から投資できる
- 自分に合った投資信託を選べる
- 透明性が高く、安心して投資できる
プロが運用してくれるほか、少額でできる点や透明性があるなど、リスクを抑えて投資したいという方にも投資信託はおすすめです。
順番に詳しく解説します。
投資のプロが運用してくれる
投資家から集めた資金は、ファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロが運用してくれます。
ファンドマネージャーは、投資の専門的な知識だけでなく、投資先の業界や地域の最新情報を用いて運用を行います。
個人では情報を得にくい、国・地域・資産などにも投資出来るのは、投資信託の大きなメリットです。
また、個別銘柄選びや日々の値動きを気にせず、手間がかからないのも初心者におすすめのポイントです。
分散投資でリスクを抑えられる
投資信託は、1つのファンドで複数の投資先に投資(分散投資)しています。
そのため、1つの会社が倒産したりしても大きな損失を避けられ、投資のリスクが抑えられます。
また、分散投資は下記のリスクを抑えるのにも有効です。
- 日本だけでなく海外にも投資でき、インフレ対策にもなる
- 株式・債券・不動産などさまざまな資産に投資でき、資産全体の損失リスクが下がる
- 投資時期を分散させる(積立など)で、長期的にリスクが抑えられる
本来なら、分散投資は大きな資金(元本)が必要です。
しかし、投資信託は多くの投資家から集めた資金を投資するため、個々の投資家は少額でも構いません。少額から分散投資のメリットを受けられます。
インフレってなに?という方は下記の記事もおすすめです。
「インフレ、デフレとは?違いや影響を分かりやすく解説します。」
少額から投資できる
少額から投資できるのも、投資信託のメリットの一つです。
投資信託は、多くの場合1万円前後から始めることができ、金融機関によっては100円~という商品も販売されています。
最低購入数が100株の株式の場合、資金は数万〜10万以上必要です。
投資信託は、他の投資と比べても少額で始めやすい投資と言えるでしょう。
自分に合った投資信託を選べる
投資信託商品の種類はとても豊富です。
そのため、自分の投資方針に合った商品を選べるのが魅力です。
たとえば、
- ハイリスク・ハイリターンで資産を増やしたいなら株式
- ローリスク・ローリターンで堅実に運用したいなら債券
など、投資資産の特徴とファンドの中身をチェックして、自分に合った投資信託を選べます。
透明性が高く、安心して投資できる
投資や株に対して「なんとなく騙されそうで不安」と感じる方もいるかも知れません。
投資信託は、下記の2つの点から透明性が高く、安心して投資できます。
- 法律で外部監査を受けることが必須とされ、報告書も投資家に公開されている
- 投資信託の価値(基準価値)は毎日公表され、だれでも見られる
また、運用と資産を管理する会社が別なので、個別の不正も起きにくいと言えます。
投資信託は、少額でリスクを抑えやすい、初心者にもおすすめの投資です。
投資信託のデメリット・リスク
始めやすくリスクも抑えやすい投資信託ですが、注意点もあります。
- 手数料がかかる
- 元本を下回る可能性がある
それぞれを理解しておかないと、無駄なお金を払ったりハイリスクな投資になる可能性もあるため注意が必要です。
それぞれ詳しく解説します。
手数料がかかる
投資信託には下記の3つの手数料がかかります。
- 購入時手数料
- 信託報酬
- 信託財産留保額
それぞれの詳細を表にして解説します。
手数料 | 購入時手数料 | 信託報酬 | 信託財産留保額 |
---|---|---|---|
概要 | ファンドの購入にかかる手数料。ファンドと販売会社によって異なる。ノーロードと呼ばれるファンドは、手数料がかからない。 | 信託の運用と管理の手数料。ファンドの種類によって異なる。 | 投資信託を換金するための手数料。無料の会社も多い。 |
手数料発生のタイミング | 購入するたびに毎回支払う。 | 年利で計算された費用を、日々差し引かれる。 | 投資信託を解約する際に差し引かれる。 |
利率 | 買付金額×0〜5%程度 | 純総資産×0.1〜5%程度 | 換金額×0〜2%程度 |
投資信託は「買う」「保有する」「換金する」ためにそれぞれ手数料がかかります。上記以外にも会社やファンドによって、手数料が含まれることがあります。
運用する期間と金額が大きいほど手数料の影響は大きく、長期的な資産運用を考えるなら必ず考慮したいポイントです。
一般的に、店舗のないネット証券はすべての手数料が安く、購入時手数料や信託財産留保額がかからない会社も多いです。
元本を下回る可能性がある
投資信託の運用成績は、さまざまな要因で悪化することがあります。
投資信託に元本保証は無いため、元本より資産が減る可能性があると知っておきましょう。
運用成績が悪化する要因には、下記のようなものがあります。
- 株価変動リスク:株価が下落する
- カントリーリスク:災害や紛争で地域の経済や産業状況が悪化する
- 信用リスク:投資した会社が倒産するなど
これらのリスクを理解しておくと、ファンドを選ぶ際に役立ちます。
複数の投資を行う場合も、上記のリスクを踏まえた分散投資がおすすめです。
逆に「元本保証!」や「リスクが無い!」といった点をアピールをする投資信託には注意したほうがいいよ。
投資信託の始め方
ここからは投資信託の始め方を3つのステップで解説します。
- ステップ1:投資の目的と方針を決める
- ステップ2:口座を開設する
- ステップ3:投資信託を購入する
ステップ1:投資の目的と方針を決める
口座開設やファンドを選ぶ前に、投資の目的と方針を決めることが大切です。
販売会社やファンドも数が多く、選ぶのに迷ってしまいがち。自分の目的と投資方針を決めておけば、最適なものを選びやすくなります。
投資の目的と目標
目的と目標は「何のために」「いつまでにいくらにしたいのか」です。そして、それにもとづいて必要な資金や年数を計算します。
たとえば「老後資金のために」「30年後に2,000万円にしたい」。そのためには「毎月いくらつみたてればいいのか」といった内容です。
必要な元本や年数が分かる投資シミレーションは、金融庁のサイトで自動計算できます。
先ほどの「30年後に2,000万円」を目標にした場合、年利3%とすると毎月の積立金額は、3万4,321円です。
年利はファンドを選ぶ際、過去の成績を目安にします。
投資方針
投資をする際に、下記のような点を決めるとリスクを抑えて迷いなく投資しやすいです。
- 投資資金金額
→収入の内、無理なく投資に回せる金額はいくらか - リスク許容度
→投資対象で損失が出る可能性を踏まえ、リスクが大きすぎないか - 優遇制度の利用
→NISA・つみたてNISA・iDeCoなど
関連記事はこちらからご覧ください。
つみたて(積み立て)NISAの始め方って何?!お得なの?仕組みは?
個人型確定拠出年金(iDeCo)の始め方って何?!お得なの?メリットは?
投資は多くの場合リスクとリターンが反比例するため、大きなリターンを狙ってリスクを取りすぎないよう注意が必要です。
定期的に調整をするのか、なるべく手間をかけないで運用するのかなど、運用方法も決めておくとよいでしょう。
ステップ2:口座を開設する
次は証券口座の開設です。
証券口座は販売会社(銀行や証券会社)で開設します。
各会社の専用フォームや窓口で申し込みをし、必要事項の記載と本人確認書類を提出するのが基本的な手順です。
証券会社は主に総合証券とネット証券に分かれています。
項目 | 特徴 |
---|---|
総合証券 | 店舗窓口で案内してくれ、担当者が運用の相談に乗ってくれる。その分手数料が高い。 |
ネット証券 | オンラインで開設・運用できる。手数料が安い。 |
手数料を抑えたい人はネット証券、手厚いサポートが欲しい方は総合証券がおすすめです。
証券会社によって取り扱う商品が異なるため、いろいろなファンドに投資したい方は、商品数もチェックするとよいでしょう。
つみたてNISA制度などを利用する場合は、各会社でつみたてNISA口座を開設します。
また、利益に対して税金がかかるため、確定申告を自動でしてくれる「特定口座」で開設するのがおすすめです。
ステップ3:投資信託を購入する
口座が開設できたら、入金してファンドを購入します。
ステップ1の投資目的や投資方針、デメリットで上げた手数料やリスクを考えて選びましょう。
- リスクとリターンのバランス(ハイリスク・ハイリターンなら株、ローリスク・ローリターンなら債券など)
- 手数料
- 利回りの過去成績
ファンドの投資対象や運用方法、手数料の詳細は「目論見書」で確認できます。
銘柄選びに迷ったら、政府が「長期運用に適した」と判断した、つみたてNISA制度で買えるファンドから選ぶのもおすすめです。
よくある質問
投資信託のよくある質問をまとめました。
税金は、投資信託の運用で得た分配金や、売却(換金)して得た利益にかけられます。
この課税を一定額の範囲で20年間無料にしたお得な制度が、つみたてNISAです。
つみたてNISAについての関連記事はこちらからご覧ください。
「つみたて(積み立て)NISAの始め方って何?!お得なの?仕組みは?」
投資資金は信託銀行が管理しているため、運用会社や販売会社が破綻しても資金は守られます。
信託銀行が破綻した場合も、資金は払い戻しされるか、別の信託銀行へ移管されます。
投資信託は申し込めば数日で換金され、指定の口座に振り込まれます。
購入時よりも値上がりしたタイミングで換金すれば、値上がり益を得られるでしょう。
運用で得られた分配金は、換金するか再投資するか選べますが、再投資すれば複利でより効果的に増やせます。
まとめ
資金をプロが運用してくれる投資商品「投資信託」について解説しました。
投資信託は、少額から手軽に始められ、幅広い商品から自分に合ったものを選べます。
元本保証はないので損失が出る可能性もありますが、分散投資でリスクも抑えやすいのがメリットです。
政府が推奨している投資優遇制度のNISAで買えるのもこの投資信託。投資初心者にもおすすめです。
将来のお金への不安がある方は、ぜひ投資信託を検討してみてください。
将来への投資は早く始めるほど効果的ですよ!