「名前だけは聞いたことあるけど、iDeCoってなんだろう?」
「話題のiDeCoのメリットとデメリットを知りたい!」
「資産運用をしたいけど、よく分からない。」
このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか?
そんな方へ、本記事では、iDeCoについて解説します。
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは
iDeCoとは「individual-type Defined Contribution pension plan」から付けた愛称で「個人型確定拠出年金」のこと。
自分で掛金を拠出して資産を運用し、老後の資金を作っていきます。
「自分で年金を作る制度」と思えば、イメージしやすくなります。
毎月、給与の天引きや引き落としによって、掛金を拠出します。
「なかなか貯金ができない」という人でも、着実に老後に向けてお金を積み立てられる仕組みになっています。
また、転職の際には企業型確定拠出年金に移管することも可能です。積み立てた掛金が無駄になってしまうこともありません。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金の上限
iDeCoは、毎月の拠出できる金額に上限があります。
以下の通り、加入資格の区分によって異なります。
加入資格 | 掛金の上限額 | |
---|---|---|
第1号被保険者(自営業者) | 月額6.8万円(年額81.6万円)※1 | |
第2号被保険者(会社員、公務員など) | 会社に企業年金がない会社員 | 月額2.3万円(年額27.6万円) |
企業型DC※2に加入している会社員 | 月額2.0万円(年額24.0万円) | |
DB※3と企業型DCに加入している会社員 | 月額1.2万円(年額14.4万円) | |
DBのみに加入している会社員 | ||
公務員など | ||
第3号被保険者(専業主婦[夫]) | 月額2.3万円(年額27.6万円) |
(参考:iDeCo公式サイト)
※1:国民年金基金もしくは国民年金負荷保険料との合算枠
※2:確定拠出年金
※3:確定給付企業年金、構成年金基金
掛金の金額は、1年に1回変更できます。
収入の増減に伴って、iDeCoの掛金額を変更したくなった場合も安心です。
たとえば「給料が上がったから、掛金額を多くしたい」 「今年は出費が多くなりそうだから、掛金は減らしたい」といったケースでも変更することができます。
うまく掛金を調整すれば、無理のない老後資金の形成が可能です!
個人型確定拠出年金(iDeCo)の対象者
iDeCoに加入できるのは、20歳以上60歳未満の方が対象年齢です。2022年5月からは、加入年齢が65歳までに引き上げられます。
反対に、iDeCoに加入できない方は以下の通りです。
- 国民年金保険料を納付していない人
- 農業者年金基金に加入している人
また、企業型DCに加入している人も、iDeCoに加入できない可能性があります。企業型DCとiDeCoは、制度上は併用が可能です。
しかし、企業型DCの規約で、iDeCoへの加入が認められていない可能性があります。企業型DCへ加入している企業に勤めている方は、総務部や人事部など、管轄の部署に確認してからiDeCoへ加入しましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する3つのメリット
「iDeCoがどういうものか、なんとなく分かったけど、加入する意味が分からない…」と思っている方はいないでしょうか。
ここからは、iDeCoに加入するメリット3つをご紹介します。iDeCoのメリットは、以下の通り節税の効果があることです。
- 掛金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受け取り時は税負担を軽減することが可能
それぞれ解説します。
掛金が全額所得控除
iDeCoのメリット1つ目は、掛金が全て所得控除されることです。
課税所得が減り、所得税と住民税の負担が軽減されます。
例えば、老後までに800万円を掛金として拠出し、所得税10%、住民税10%が課せられる場合、800万円×20% = 160万円が節税できます。
年収が高いほど税率も高くなるので、節税のメリットは大きくなります
運用益が非課税
iDeCoのメリット2つ目は、運用益が非課税であることです。
運用益には、通常およそ20%の税金がかかります。しかし、iDeCoを利用すれば、運用して出た利益も非課税です。
たとえば、iDeCoを利用して老後までに1,000万円の運用益が出た場合。
iDeCoを活用していなかったら、1,000万円×20% = 200万円の税金がかかります。
iDeCoの場合、上記の例では200万円全額が非課税です。
受け取り時は税負担を軽減することが可能
iDeCoのメリット3つ目は、受け取り時は税負担を軽減できること。
老後に年金としてiDeCoで運用した資産を受け取る時は、公的年金等控除・退職所得控除が活用できます。
iDeCoは60歳から受け取りができますが、一括で受け取るのか、分割で受け取るのかを選択できます。
一括で受け取ると、退職金として見なされ「退職所得控除」が利用できます。
分割で受け取ると、年金と見なされ「公的年金等控除」が利用可能です。また、資産の一部を一括で受け取り、残りは分割して受け取ることもできます。その場合、一括で受け取った分は退職所得控除・分割して受け取った分は公的年金等控除がそれぞれ適用されます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する3つのデメリット
ここまで、iDeCoのメリットをご紹介してきました。ここからは、iDeCoのデメリットについて、それぞれ解説します。
- 資金が60歳まで拘束される
- 手数料がかかる
- 運用成績によって資産が減る可能性がある
資金が60歳まで拘束される
iDeCo最大のデメリットは、原則60歳まで資金が引き出せない点です。
iDeCoは、老後の資産形成を目的とする制度です。そのため、途中でiDeCoにて運用している資金を引き出すことはできません。
たとえば、家の購入・結婚・出産などのライフイベントには、大きな出費が想定されます。また、思わぬ事故や病気で医療費が必要になるかもしれません。
万が一の場合や、まとまった出費に備えて、別で貯蓄をしておく必要があります。その反面、経済的に困窮した際に、差し押さえもされない資産である点はメリットと言えます。
手数料がかかる
iDeCoのデメリット2つ目は、手数料がかかること。
iDeCoは、以下の手数料がかかります。
- 加入時・移換時手数料
- 口座管理手数料
- 給付事務手数料
- 還付事務手数料
国民年金基金連合会には、iDeCo加入時や転職で資産を移管した際のみ2,829円、掛金を納付するたびに105円がかかります。その他、事務委託先や運営管理機関に手数料を支払いますが、口座を開設した金融機関によって金額は異なります。
できるだけ手数料が安いところで、口座を開設しましょう。
運用成績によって資産が減る可能性がある
iDeCoのデメリット3つ目は、運用成績によって資産が減る可能性があること。
iDeCoはあくまで投資によって老後の資産を形成していく制度です。投資である以上、損して元本割れを起こす可能性は否めません。
貯金だけでは得られない利益が期待できる分、経済の動向によっては損失を被ることもあり得ます。
ただ、iDeCoは資産運用でリスク軽減の基本である「長期・積立・分散投資」に向いています。
「長期・積立・分散投資」を心がけて老後の資産を作っていきましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)加入手続き・始め方
「iDeCoのメリットやデメリットが理解できたから、実際にiDeCoを始めたい」と思っている方もいらっしゃると思います。ここからは、iDeCoの始め方を以下の通りご紹介します。
- 加入資格があるか確認する
- 掛金を決める
- 金融機関を選ぶ
- 運用商品を選ぶ
それぞれ順番に解説します。
加入資格があるか確認する
まず、iDeCoに加入できるかを確認します。
iDeCoの公式サイトに、加入資格があるか簡単にチェックできるページがあるので、そちらで確認してみましょう。
掛金を決める
iDeCoの掛金は、月々5,000円以上1,000円単位で、上限の金額まで設定できます。
前述したように、人によって上限の金額は異なります。掛金額は1年に1回変更できるので、収入や家計の状況に合わせて適宜変えましょう。拠出が厳しくなったら、止めることはいつでも可能です。
金融機関を選ぶ
掛金が決まったらiDeCoを運用する金融機関を選びます。
普段使っている預貯金の銀行口座は、iDeCoを利用する口座として使うことはできません。
そのため、iDeCo用の口座を開く金融機関を選ぶ必要があります。
2021年12月時点で、iDeCoを取り扱う金融機関はおよそ160社。
その中から1社だけを選んでください。デメリットでもお伝えした通り、できるだけ手数料が安い金融機関を選ぶのがおすすめです。
他にも、以下の観点も取り入れて、金融機関を選びましょう。
- 投資したい運用商品があるのか
- Webサイト・運用報告書・コールセンターなどのサービスが充実しているか
運用報告書とは、投資信託の決算期末ごとに、金融機関が投資家に対して発行する書類。運用成果やコスト等を明らかにしたものです。
利用しやすい金融機関を選んで、手続きを進めてください。
運用する商品を選ぶ
iDeCoで運用する商品を選びます。iDeCoの運用商品は、大きく「元本確保型」と「投資信託型」の2つに分けられます。
元本確保型の商品は、元本割れが発生しない商品です。iDeCoのデメリットとして、元本割れの可能性があることをお伝えしました。しかし、元本確保型の商品を選べば、元本割れは起きません。その代わり、銀行への預金と大きく変わらず、リターンは期待できません。元本確保型の商品には、定期預金や保険商品があります。
投資信託型の商品は、投資家から得た資金をもとに、専門家が投資や運用を実施。運用して出た損益は、投資家の投資した金額によって配分されます。投資信託は主に以下4つに分類されます。
- 国内債券型
- 外国債券型
- 国内株式型
- 外国株式型
他にも、国内と海外の複数の債券や株式に分散して投資する「バランス型」、上場している不動産を対象とした「REIT(不動産投資信託)」があります。
運用商品を選ぶ際には、以下の点を確認してみましょう。
- 商品の特徴
- 予想されるリスク
- 期待できるリターン
- 運用商品に影響する要因
iDeCoの商品は、各社3~35本を取り揃えています。数ある投資商品から厳選されているため、実力のあるファンドが多数。投資の初心者であっても、いわゆる「ぼったくり」の商品を選んでしまうことはありません。
上記の運用商品を選ぶ際のポイントを参考にして、ご自身に合った商品を選んでみてください。
個人型確定拠出年金(iDeCo)のよくある質問
ここからは、iDeCoを始めるにあたり、よくあがる質問を解説します。
専業主婦の方も節税メリットはありますが、必ずしもメリットを受けられるわけではありません。なぜなら、所得税・住民税を払っていない場合、掛金の所得控除は節税にならないため。収入の状況によっても変わってきますので、ご自身の状況を確認したうえで加入することをおすすめします。
この記事では、iDeCoの概要について、以下の内容を中心にお伝えしました。
- iDeCoは自分で老後の資産を形成する制度
- 20~59歳のほとんどが加入できる
- 節税メリットが大きい
- 60歳までは資金を引き出せない
- 投資である以上、元本割れの可能性はあるが、その分リターンも期待できる
iDeCoは、老後の資金を作りやすくした国の制度です。
資金が拘束される点は注意が必要。しかし、貯蓄で万が一の事態や大きな出費をカバーできる方であれば、メリットの方が大きい制度と言えます。
本記事を参考にiDeCoを活用し、老後の資金を準備していきましょう!