「老後の資金をつくるのに、つみたてNISAが良いと聞いたけど・・・」
「名前だけは聞いたことあるけど、つみたてNISAってなんだろう?」
「資産運用をしたいけど、お金も時間も知識もない。」
このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか?
そこで本記事では、つみたてNISAの概要を解説します。
つみたてNISAには、多くのメリットがあります。つみたてNISAのメリットを知らないまま資産運用をしていると、大きな単位で損しているかもしれません。
ぜひ最後までご覧いただき、つみたてNISAを利用して資産運用を始めてみましょう。
つみたてNISAとは
NISAとはNippon Individual Savings Account(日本版の個人用貯蓄口座)の略称。イギリスのISAをモデルとしています。つみたてNISAとは、2018年から始まった「長期・積立・分散投資」を行うための非課税制度。老後の資金を形成する目的だけでなく、出産や子どもの教育資金、家の購入など、さまざまな目的で利用しやすい制度です。
つみたてNISAの概要
投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。
つみたてNISAでは、毎年40万円を上限として一定の投資信託を購入することが可能です。
各年に購入した投資信託を保有している間に得た分配金と、値上がりした後に売却して得た運用利益が、20年間課税されないという制度です。
現在、つみたてNISAは2042年までの制度とされていますので、投資信託の購入を行うことができるのは2042年までとなります。
なお、2042年中に購入した投資信託についても、20年間(2061年まで)非課税で保有することができます。
つみたてNISAの3つの特徴
つみたてNISAは以下3つの特徴があります。
- 投資先は金融庁が厳選
- 一般NISAとの併用はできない
- 年齢の上限がない
それぞれ解説します。
投資先は金融庁が厳選
つみたてNISAの投資先は、金融庁が厳選した優良な商品に絞られています。いわゆる「ぼったくり」のような、悪質な商品は除外されているのです。一般NISAは、もう少し選択肢が多くなっています。
たとえば公募株式投資信託では、以下を満たすものが、つみたてNISAの対象になっています。
- 販売手数料がゼロ
- 信託報酬は一定の水準以下
- 顧客が1年間に負担した信託報酬の金額を通知する
- 信託契約期間が無期限もしくは20年以上
- 分配頻度が毎月ではない
- デリバティブ取引による運用を行っていないこと
(参考:金融庁HP)
投資先が限られている点は、デメリットに感じる方もいるかもしれません。一方、投資に不慣れな方にとってははじめから選択肢がある程度絞られているため、投資先を選びやすいともいえます。
つみたてNISAは、あらかじめ金融庁が商品をピックアップしているので、大きく失敗する可能性は低くなっています。
一般NISAとの併用はできない
つみたてNISAは、一般NISAと併用することはできません。口座開設の際に、つみたてNISAか一般NISAのどちらを利用するか、選ぶ必要があります。
非課税の口座を開設できるのは、すべての金融機関を通して1人1口座です。
つみたてNISAと一般NISA、どちらが自分に向いているかを考えて選びましょう。もし、自分が選んだNISAが合わないと思ったら、1年単位で変更することが可能です。
年齢の上限がない
つみたてNISAは、20歳以上(※)であれば、誰でも始めることができます。
ただし、口座開設する年の1月1日現在で20歳以上(※)でなければならないので、注意しましょう。
※成年年齢引き下げの民法改正に伴い(2022年4月1日施行)、2023年1月1日以降に設けられるNISA口座については、口座を開設できる年齢がその年1月1日において、20歳以上から18歳以上に引き下げられます。
つみたてNISAのメリット
ここからは、つみたてNISAのメリットを以下の通りご紹介します。
- 最長で20年、運用益と分配金が非課税である
- 少額から始められる
- いつでも引き出せる
- 買うタイミングを考える必要がない
- ドル・コスト平均法の恩恵を受けやすい
- 低コストで長期的な運用ができる
それぞれ解説します。
最長で20年、運用益と分配金が非課税である
つみたてNISAでは最長で20年間、運用益と分配金が非課税です。運用益とは、値上がりや利息で生じた利益のこと。分配金とは、運用で得られた収益を決算ごとに、投資家に分配されるお金のことを意味します。
通常、投資で利益が出た場合、運用益と分配金に対して約20%の税金がかかります。しかし、つみたてNISAを利用していれば、20年間は税金がかかりません。
「複利の効果」を期待して投資をする方もいます。「複利」とは、利息にさらに利息がつくこと。「雪だるま方式で利息がついていくこと」とよく表現されます。ちなみに、複利と反対の言葉に「単利」があります。単利とは、元本のみに利息がつくことです。
つみたてNISAでは、本来は税金で引かれていた分を運用に回すことができます。その分、複利の効果も大きくなるのです。
運用益と分配金が非課税であることは、つみたてNISAの最大のメリットと言えます。
少額から始められる
つみたてNISAでは、少額から投資を始められます。
金融機関によって最低の積立額は異なり、100円や1,000円といった無理のない金額から始められるところも。
「投資に回せる金額が少ない」という方でも、安心して運用することができます。最低額が気になる方は、事前に金融機関へ確認をとってから口座を開設しましょう。
いつでも引き出せる
つみたてNISAは、好きなときに換金して引き出すことができます。
iDeCoは途中で引き出せないのがデメリットですが、つみたてNISAはいつでもお金を引き出すことが可能です。
たとえば「老後の資金として、つみたてNISAを利用していたけど、出産・育児でお金が必要になった」といった場合にも活用できます。
自由にお金が引き出せないiDeCoに不便を感じる方は、つみたてNISAを利用するのがおすすめです。
買うタイミングを考える必要がない
つみたてNISAでは、投資のタイミングを考える必要がありません。
商品を安く買って高く売るのが、一般的な投資です。そのため投資家たちは、値動きや市場の動向を見て、商品を買うタイミングを計っています。投資タイミングの判断は、投資の経験者でも困難とされています。
しかし、つみたてNISAは、積立投資のための制度。
タイミングを読んで一括で購入するといったスポット投資ではなく、投資するタイミングを分散させ、リスクを軽減します。
初回の購入時に、商品を買うタイミングと金額を設定します。その後は自動で買うため、都度の判断は不要です。
ドル・コスト平均法の恩恵を受けやすい
つみたてNISAは、ドル・コスト平均法の効果を発揮しやすくなっています。
ドル・コスト平均法とは、購入するタイミングを分散し、一定の金額で金融商品を購入する方法です。一定の金額で購入すると、価格が高いときは少なく、価格が安い時は多く買うことになります。そうすることで、平均購入単価を抑えることが可能です。
先述したスポット投資では、一括で購入します。そのため、購入したタイミングが偶然、価格が高いときだった……ということもあり得ます。
積立投資と相性が良いドル・コスト平均法では、高値で多く買ってしまうおそれがありません。
低コストで長期的な運用ができる
金融庁が事前に商品を選んでおり、購入時の手数料が抑えられたもが多いのも特長です。
つみたてNISAは、低コストで長く運用ができるのもメリットといえます。
投資が初めての人でも、気兼ねなく始められます。
つみたてNISAの4つのデメリット
以下の通り、つみたてNISAには一部のデメリットもあるので、ご紹介します。
- 元本割れの可能性がある
- 非課税投資枠の持ち越しができない
- 損益通算・損失の繰越控除ができない
- リバランスが困難
それぞれ解説していきます。
つみたてNISAのデメリット
元本割れのおそれがある
投資である以上は当然ですが、元本割れのリスクがあります。
つみたてNISAのような「長期・分散・積立投資」は、元本割れの可能性を抑えられると言われます。しかし、絶対に損をしない投資は存在しません。
損失を回避できるようにしつつ、投資である以上、損をする恐れがあることは覚えておきましょう。
非課税投資枠の持ち越しができない
つみたてNISAでは、非課税投資枠の持ち越しができません。
つみたてNISAでは年間40万円分の投資は非課税です。今年すでに40万円分を投資していて、1年の途中で10万円を売ったとします。この時、売った10万円分は非課税投資枠として、再び活用することはできません。
年間で新たに投資できる金額が40万円であると覚えておきましょう。
損益通算・損失の繰越控除ができない
つみたてNISAでは、損益通算・損失の繰越控除ができません。
損益通算とは、一定の期間内で発生した損失と利益を相殺すること。通常、投資では利益が発生した分には税金がかかります。損失が出た場合は利益から損失分を差し引き、その分の税金を減らすことが可能です。
たとえば、口座Aでの取引が100万円の利益、口座Bで30万円の損失を出した場合。通常の投資では、損益通算で相殺すれば課税対象は70万円になります。しかし、口座BがつみたてNISAの口座の場合、損益通算ができません。そのため、100万円の利益にそのまま税金がかかってしまいます。
損失の繰越控除は、損益通算の結果、投資の利益よりも損失の方が大きい場合に行います。確定申告をすれば最長3年間、損失を繰り越して控除することが可能です。
しかし、つみたてNISAでは利益は非課税です。税務上、損失はないものとみなしますため、繰越控除を行うことはできません。
リバランスが困難
つみたてNISAでは、リバランスが難しくなっています。
リバランスとは、投資配分を見直すこと。通常、投資家は商品Aには30%、商品Bには20%……といったように、分散して投資を行います。運用中、値動きでこれらの配分が崩れていくので、投資配分を戻すのがリバランスです。
つみたてNISAでは、リバランスをするためにスポット購入ができません。積立額の見直しで配分を調整するしかないので、リバランスが難しくなっています。
つみたてNISAに向いている人とは
「結局、自分はつみたてNISAをやった方がいいのか?」と思っている方へ、つみたてNISAに向いている人について解説します。
つみたてNISAは、以下の人に特におすすめです。
- 投資に慣れていない人
- 投資に時間を割けない人
- まとまった投資の資金がない人
つみたてNISAは、前述したように、投資タイミングを判断する必要がありません。そのため、投資に不慣れな人や忙しい人でも始められます。
また、少額で始められるので、資金がない方でも気軽に始めることができます。
つみたてNISAの口座開設の方法つみたてNISAの始め方
つみたてNISAの始め方は、以下の通りです。
- 金融機関に申請を行い、口座を開設する
- 証券会社に入金手続きを行う
- 積み立てる商品を決める
それぞれの手順を解説します。
金融機関に申請を行い、口座を開設する
つみたてNISA用の口座を開設します。最低の積立額や、扱っている商品を基準に、開設する金融機関を選びましょう。
Webや紙の書類で必要事項を記入し、口座を開設します。詳細はそれぞれの金融機関で確認してください。
証券会社に入金手続きを行う
つみたてNISA用の口座が開設できたら、入金手続きをします。
つみたてNISAは、年間の非課税枠が40万円。この非課税枠内で積み立てる金額を決めます。
自動引き落としの設定や、あらかじめ積み立てる金額をすべて入金しておけば、手間がかかりません。
積み立てる商品を決める
つみたてNISAは、金融庁があらかじめ商品を厳選しており、大きく失敗する可能性は低くなっています。とは言え、何を選んだら良いかわからない方は、運用手法・過去の運用成績・手数料を基準に選んでみましょう。
つみたてNISAのよくある質問
つみたてNISAについて、よくある質問を解説します。
20年間の積み立てで保有した投資商品を売却せずに引き続き運用したいという場合は、特定口座や一般口座で運用を継続することが可能です。
いずれの口座も課税口座ですが、NISA口座からの払い出し(口座の移し替え)には特別な手続きは必要ありません。
金融機関で個人番号カード(マイナンバーカード)等を提示し、マイナンバーを通知する必要があります。
まとめ
つみたてNISAについて、主に以下の内容を中心にお伝えしました。
- 少額から始められる長期・分散・積立投資向けの非課税制度
- 年間40万円分までが非課税
- 投資に慣れていない人や忙しい人におすすめ
つみたてNISAは、非課税で投資を始めることができ、デメリット以上にメリットが大きい制度です。
特に「これから投資を始めたい」と思っている方は、まずつみたてNISAを利用して、非課税で始めてみるのがおすすめです。
ただ、どんな商品を運用していくのかが非常に重要です。自分で実際に試行錯誤し、投資について学びながら資産を作っていきましょう。