通勤で使わなくともアウトドアやゴルフ、ちょっと遠くへ行くのに車は便利な道具ですよね。車があれば、電車では行きづらい場所へも行けますし、車内で好きな音楽を聴くこともできますよね。
しかし、車を買うのであれば、事故や災害時の損害をまかなう「自動車保険」にも加入する必要があります。
それでは、自動車保険の補償内容とはどのようなものがあるのでしょうか。
安心なカーライフを送るために必要な、自動車保険について解説していきます。
自動車保険とは
自動車保険には大きく分けて、「自賠責保険」と「任意保険」の2つの保険があります。
それぞれどのようなものなのかを解説します。
自賠責保険
自賠責保険は車を購入したら、必ず加入する必要のある保険です。
「強制保険」や「義務保険」と呼ばれることもあります。
また、自賠責保険に加入していない車は車検を通すことができないため、乗ることができません。
事故を起こしたときは相手の体だけが保険の対象となり、最低限の補償しか受けられないのが自賠責保険の特徴です。
つまり自賠責保険しか加入していない場合は、自分のケガや、自分の車や相手の車、衝突した建物などの損害については補償してくれないということです。
また、自賠責保険の補償額は法令で決められているため、補償額の上限を上回る死傷などを負わせた場合も補償の対象外となります。
自動車保険(任意保険)
自賠責保険に対して自動車保険(任意保険 以下自動車保険)は、加入の義務はありませんが自賠責保険で補償できない範囲もカバーできるため、8割近くの人が加入している保険です。
(参照データ:2020年度自動車保険の概況損害保険料率算出機構 )
自動車保険はさらに細かく補償内容が分かれています。それぞれの特徴について説明していきます。
対人賠償責任保険
対人賠償責任保険とは、自分ではない他人を自動車事故により死傷させたときに補償する保険のことです。他人といっても、同乗者などは対人賠償責任保険の補償対象外となります。
自賠責保険でカバーできない範囲の損害賠償額を、この保険が補償してくれます。
対物賠償責任保険
対物賠償責任保険とは、他人の物を壊した際に発生する損害賠償額を補償する保険です。
事故によって壊してしまった民家の塀や、電信柱、相手車両などが対物賠償保険の対象として適用されます。
自賠責保険には対物補償がないので、対物の賠償に関して保証したい自動車保険の対物賠償責任保険に加入する必要があります。
人身傷害補償保険
人身傷害補償保険とは、自動車事故により自分や搭乗者を死傷させた際に生じる損害額を補償する保険です。
搭乗者とは運転者や同乗している人を含む、事故にあった車に乗っていた人を指します。
事故にあった車の搭乗者がケガなどを負った際の治療や介護、死亡した際の葬儀などで発生する費用が人身傷害補償保険で補償されます。
保険会社や契約内容によりますが、記名被保険者は他人の車やバスの搭乗中に受けた事故でも補償を受けられるのが特徴のひとつです。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険とは、事故にあった車に乗っている人が傷害を受けた際に生じる費用を補償する保険です。
人身傷害補償保険と同様に、事故による治療費や介護費用、葬儀代などを補償する保険です。
搭乗者傷害保険は、事故にあった車に乗っていることが前提で、保険金の支払いは費用の実費ではなく契約による定額分が支払われます。
搭乗者傷害保険は、人身傷害補償保険と組み合わせて契約もできます。
車両保険
車両保険は、事故にあった車の修理費や盗難にあった際の補償が主な内容です。
しかし、地震・津波・噴火による損害は、車両保険では補償対象外であることが多いため、加入の際には確認が必要です。
また車両保険には契約内容が主に2つあります。詳しく説明していきます。
一般条件
車両保険のうち、広範囲の補償が受けられるタイプです。
補償が受けられる主な例は以下のようなものです。
- 車同士の事故で修理が必要な場合
- 保険に入っている車に落書きや傷をつけられたなどの場合
- 保険に入っている車が盗難にあって見つからない場合
- 当て逃げされた場合
- 台風や洪水で車が動かなくなった場合
- 単独で電柱やガードレールにぶつかって破損させた場合
契約内容によって補償の金額や内容は異なりますが、主に上記のような事故を起こしたときの費用を補償してくれます。
「車対車+A」のプランに比べると保険料は高くなりますが、補償の幅が広いのが特徴です。
幅広い補償を望んでいる人はもちろん、運転そのものに自信がない、いたずらが怖い、といった人にはおすすめのプランね。
車対車+A(エコノミー)
車両保険の一般条件に対し、車対車+Aは補償の条件を絞って金額を抑えたエコノミーなプランです。
一般条件では電柱やガードレールなどの事故による損害も補償されますが、車対車+Aのプランの場合、単独事故による車や物の修理代は補償の対象外です。
ほかにも当て逃げなどの、相手がわからないときの車の補償などはカバーされません。
車同士の事故だけ補償してくれればいい、費用を抑えて最低限の補償をつけたい、と考える人におすすめのプランです。
免責金額
免責金額とは車が事故にあったときに発生する修理額のうち、自分で負担する金額のことです。
仮に免責金額が5万円とすると、修理代が60万円かかった場合、自分で負担する金額は5万円、保険から補償される金額は55万円です。
例:60万円(修理代)ー5万円(自己負担)=55万円(保険金)
上記のケースの場合、修理代が5万円を下回った場合には保険金は支払われません。
では「0-10」と記載されているのは、どのような意味でしょうか。
これは事故回数とその免責金額を表しています。
「0-10」の場合は1回目の免責金額は0円、2回目は10万円ということですね。
ただしこれは同じ保険期間内での話です。ほとんどの保険は1年契約なので、1年間に起こした事故の回数に合わせたものです。次の年の新たな契約には適用されません。
免責金額は保険の契約によって変更できるため、免責金額を高めに設定しておくと保険料を抑えることができます。
反対に事故を起こしたときの修理代はなるべく抑えたい、という場合には免責金額を0円にすることも可能です。
主な特約
自動車保険には上の章で説明した基本的な保険のほかに、「特約」というものがあります。
特約は基本の補償にプラスする、オプション保険のようなものです。
特約にはどのようなものがあるのか、代表的なものを5つ説明していきます。
弁護士費用特約
「弁護士費用特約」は、自動車事故が起きた際、相手に対して損害賠償請求をするときに弁護士に相談したり、委任したりする際に発生する費用を補償するというものです。
とくに「もらい事故」は保険会社による示談交渉ができません。
自分自身で示談交渉しなくてはならず、法律に基づいて相手と交渉する際には、弁護士に依頼する必要が出てくるのです。
その際の相談費用などを補償してくれるというものです。
対物超過特約
「対物超過特約」とは、時価を超える修理代を補償する特約です。
自動車保険の対物賠償保険で支払われる相手の車の修理費は、時価が限度であることが法律で定められています。
しかし車によっては、時価を超えた修理代がかかることがあります。
修理代が基本補償の範囲を超えたとき、この特約があれば自分で費用を負担する必要はありません。
新価特約(新車買替特約)
「新車買替特約」とは、事故によって車の買い替えが必要となったときに補償される保険です。
新車買替特約は車両保険に付帯する保険のため、車両保険に加入することが条件です。
買ったばかりの車が事故によって全損した場合、もしくは保険会社によって決められた購入価格の割合以上の修理費がかかった際に、新車買替特約が適用されます。
この特約は高額な車を買ったときや、運転に自信がない状態で車を購入したときなどに考えるとよい保険です。
レンタカー特約
「レンタカー特約」とは事故によって車が乗れない期間に、レンタカーなどの実費を補償する特約です。
事故のあとに修理が必要になると数日の間、車がない状態になり通勤や生活に支障をきたすことがあります。
そのようなときにレンタカーがあれば、車がない不便さをカバーしてくれるというわけですね。
個人賠償責任保険特約
「個人賠償責任保険特約」とは、自動車事故以外の日常生活での事故で賠償額が生じた際に受けられる補償の特約です。
例えば他人にけがを負わせたり、他人の持っているものを壊したりしてしまったといった場合に適用されるというわけですね。
契約の条件
自動車保険は加入の条件によって、保険料が大きく変わります。
加入の条件にはどのようなものがあるのか、解説します。
年齢条件
「年齢条件」とは、保険が適用される車を運転する人の年齢を限定的にすることです。
年齢条件は運転者の年齢に合わせた条件なので、子どもが免許を取った、結婚して家を出た、など生活スタイルが変わったときに見直しが必要です。
また下のような場合は年齢条件の範囲外でも、年齢条件にかかわらず補償されます。
- 別居している子ども
- 友人
- 別居の親族
帰省のときに帰ってくる子どもが乗るかも、、と思って年齢条件を引き下げる必要はないということね。
運転者限定
「運転者限定」とは運転者を限定する条件です。
運転者限定の選択肢は、記名保険者のみ、家族のみ、配偶者のみ、といったケースが多く、年齢条件よりも保険料を抑えられるという特徴があります。
運転者限定の特約を付帯した場合は、年齢条件での補償範囲に関わらず補償される運転者が限定されるため注意が必要です。
使用目的
車の使用する目的によって、保険料が変わります。
主な使用目的の区分は3つです。
- 業務での使用
- 通勤または通学
- 日常やレジャー
使用目的をわけることで、どれくらいの頻度で運転するのかを保険会社へ申告するもので、業務での使用は保険料が高くなり、日常やレジャーでは安くなります。
保険料が安い方がいい、と違う使用目的を申告してしまうと、「告知義務違反」となり、いざとなったときに保険料が支払われないこともあるので気をつけましょう。
免許証の色
免許証の色によって保険料が変わります。
免許証の色はグリーン、ブルー、ゴールドの3種類で下の表のように分けられます。
免許証の色 | 運転者 |
---|---|
グリーン | 免許新規取得者 |
ブルー | 初回運転者 |
同上 | 一般運転者 |
同上 | 違反運転者 |
ゴールド | 優良運転者 |
このうちゴールド免許は、5年以上違反や事故を起こしていないため、保険料が安くなります。
代理店・通販の違い
自動車保険は代理店や通販といった、保険会社によっても補償の内容が異なります。
運転の頻度や距離、使用の目的は何か、といった自分の運転状況にあった補償内容を比べる必要があるわけです。
代理店から加入する場合は、保険加入時、また万が一の事故時に代理店からサポートを受けることができるといったメリットがあります。
通販では、代理店加入よりもサポートは少なくなりますが、その分保険料負担が安くなる傾向がある点が特長といえるでしょう。
その他、自身の勤め先で保険にか加入できるケースもあります。会社の団体特約で保険料を抑えられることもあります。
自動車保険のよくある質問
人身事故による損害賠償額は、実際に必要となった治療にかかる費用のほかに、休業損害(事故による傷害のために発生した収入の喪失など)や逸失利益(事故によって身体に回復が困難と見込まれる障害が残ったために発生した収入の喪失など)など、事故に遭ったことで生じた間接的な損害も含めて算出されます。
つまり、交通事故で死傷させてしまった相手の職業や年収、性別や年齢によっては、高額な損害賠償額を請求されることがあるということです。
加えて、踏切での事故や電車との衝突事故を起こしてしまった場合などは、想像もつかない多額の賠償金を支払わなければないことともあります。
万が一の備えとして加入する保険だからこそ、無制限での加入をおすすめだよ。
そのうち大きく異なるのは、支払われる保険金の内容です。
人身傷害補償保険は、事故にあった際に生じた実際の損害額を実費分補償するというもの。
搭乗者傷害保険は、契約によってあらかじめ決められた金額を補償するというもの。
補償の対象者や補償対象の事故の内容などは、保険会社によって異なるので確認が必要です。
まとめ
自動車保険の補償内容について解説しました。
車を運転するのであれば任意といえども、いざというときのために自動車保険には入る必要があるといえます。
自分に合わせた保険の補償内容を、盛り込みつつも無駄のないようにしたいですね。
保険の内容を確認することはもちろん、自分自身の安全運転が最も大切です。
安心の補償と安全運転で、素敵なカーライフを送ってください。